塩と漢字と絵と雑談と…

いらっしゃいませ。ここでは主に漢字と趣味の話をしばしば綴ります

漢字小話 其の捌<豊と豊>

久しぶりに漢字小話。まぁ前にまとめたストックなんですけどね。
丁度ツイッターで豊と豐について疑問に思っている方がいらっしゃったので記事に出しました。

 其の捌<豊と豊>

 今回は、「豊」と「豊」について。
 おい、ちょっと待て!どっちも同じ字じゃないか!思うでしょう。ところがどっこい、そうではない!まずはこの二つの字をそれぞれ旧字体にしてみましょう。
 すると→「」と「」になります。
 片方は形が変わり、もう片方はそのままです。
 この二つは音読みも違います。それぞれ、「ホウ」と「レイ」です。

 まぁ、結論から言うと、この二文字は違う漢字です。
 前者の「豐」は皆さんご存知、「ゆたか」と読む「豊」です。
 そして後者の「豊」はたかつき(高坏・豆)という器に、お供え物を持った姿を描いた象形文字で、「礼(禮)」や「醴」に従う字です。神様に捧げるものに関連しています。高坏の実物が見たい方は……ググってください。

 ではそれぞれの字を『説文解字』で見てみましょう。

 「豐」…豆之豐満者也。从豆、象形。≪郷飲酒≫有豐侯者。凡豐之屬皆从豐。

 「豊」…行禮之器也。从豆、象形。凡豊之屬皆从豊。讀與禮同。

 まあ、私も全部読めるわけではないですが、大体の意味はこうです。
 「豐」は高坏が豊満であることである。豆に従う象形文字。およそ豐に属する字はみんな豐に従う。
 「豊」は礼を行うときに使う器である。豆に従う象形文字。およそ豊に属する字はみんな豊に従う。礼と読み方は同じである。
 大体は『説文解字』に書いてありますよね。こういうことなんです。

 もう少し説明すると『大漢和辭典』にはそれぞれ、
 「豐」…象形。豆中にものを盛って入れた形。豆は黍稷(もちきびとうるちきび)の類を盛るもの。
 「豊」…醴の初文(初めの文字)で、金文にはその二文字を用いる。「酒一宿にして熟するものなり」とする。甘酒の類。少麹多米、一宿にして熟するものである。君臣間の儀礼に多く用いられる。醴酒(あまざけ)、醴泉(甘味のある水が湧く泉)など。
 とあります。

 ↓↓ごっちゃになってしまった人のためにまとめます↓↓
 「豐」…俗にいう豊かな様。器にたくさん盛り付けた様子。豊満。
 「豊」…「レイ」と読む。意味は甘酒、礼儀。「礼(禮)・醴」の最初の字体、というかほぼ一緒。

 以上のことから、「豊(ホウ)」と「豊(レイ)」は全く異なった漢字であることがわかりますね。部首は同じ「豆」でも、読みが変われば意味も変わるのです。礼の旧字体「禮」に「豊」がついているのに「ホウ」と読まない理由はこういう訳なんですね。

 ちなみに、現代中国では「豊(ゆたか)」は「丰」と書きます。なんと簡単なことか!「豐」の字の「山」の間にある部分を使ってるんですよね。いやはやなんとまぁ大胆に略したものだ。


結構前に書いてるので、文章があれですが、お気になさらず…w
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  1. 2015/03/19(木) 13:31:14|
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漢字小話 其の陸

 お久しぶりです。長らく放置してしまいましたね…ごめんなさい。
 今回は漢字小話です!

 さあ、漢字の基本に立ち返ってみましょう。今回は漢字の"音(おん)"について。
 音、といえば、音読みのことです。音読みは、中国の読みの音を日本語に当てたものです。
 たとえば、「明」はピンイン(中国語の発音を表す記号)で表すと「míng」で、「ミン」と上がり調子で読みます。それを当時聞いた日本人が、「メイ」と訳しました。
 主に日本人の耳コピで訳したので、似たような音である漢字もあるし、あれ?っと思う音の漢字もあります。

 音読みには4種類あり、一般的に皆さんが使っている読み方は、『漢音』といいます。奈良時代から平安時代にかけて、遣唐使や留学僧が日本に持ち込んだ読み方です。大方の熟語がこの読み方です。

 次に『呉音』。これは5・6世紀頃に伝わった音です。つまり『漢音』より前に輸入(?)された音です。誰がどう持ち込んだかは、定かになっていません。この読みは、仏教用語によく使われています。

 3つ目の『唐音』は、鎌倉から室町時代にかけて、禅僧の留学や貿易によって持ち込まれた読みです。そのため仏教用語の中でも、とりわけ禅宗用語に使われます。

 最後は『慣用音』です。これは上記のどの音にも属さない音で、多くは読み間違いがそのまま定着したものです。

 実際にはどの音がどのような音をするのでしょう。……ん?分かりにくいな。えっと、どの音(おん)がどのような音(おと)をするのでしょう?……振り仮名ふらないと分かりにくいや。

 さて、今回の副題である<建設と建立>、この二つをそれぞれ読むと「けんせつ」「こんりゅう」です。同じ「建」でも読み方が違います。
 この二つの読みを先ほどの分類に分けると、「ケン」は『漢音』、「コン」は『呉音』です。
 「ケン」の読み方は前述のとおり、『漢音』です。また「設」の「セツ」も『漢音』です。説明するまでもなく、ごく一般的な熟語構成です。「勇気」「学校」「惜敗」などがあります。

 一方「コンリュウ」と読むこの熟語。これは「建」だけではなく「立」も『呉音』の読みです。『呉音』で構成された熟語なんですね。前述のとおり『呉音』の言葉は多く仏教用語に使われるのですが、この「建立」も普通の建物ではなく、仏堂・仏塔を建築するときに使う語です。ほかにも、「殺生」「修行」「権化」などの用語は、すべて『呉音』です。

 今は一般的になっている『漢音』ですが、実は昔、一悶着ありました。『漢音』が日本に来るより前に入ってきたのは『呉音』です。そのため古代の人々には漢字を『呉音』で読むのが一般的でした。そこへ新しい発音である『漢音』が入ってきたのです。『呉音』から『漢音』への切り替えは大変だったらしく、当時の大学寮の学生に対して勅語が出たほどです。かなり厳しかったみたいです。その結果、中国の書籍などは『漢音』で読む習慣が根付きはじめます。ただ、仏典などは『呉音』の定着は強く、『漢音』には改まりませんでした。それが現代まで続いているのです。

 ちなみに、『呉音』は仏教用語だけでなく、日常使う語にもあります。「屏風」「正月」などです。また、「自・城」などは普段使う読みが『呉音』です。『漢音』だと「シ・セイ」と読みます。さらに「『漢音』+『呉音』」、またはその逆の組み合わせの熟語もあります。「食堂」「怪力」などです。

 さて、残りの二つを説明しましょう。……なんか長くなりそうです。
もう十分長いですけど(;^_^)

 『唐音』は、物の漢語に多いです。理由は上記のとおりです。「行灯(アンドン)」「炭団(タドン)」「瓶(ビン)」などです。「木綿」の「モ」や、「饅頭」の「ジュウ」もそうですよ。『唐音』はこれくらいしか説明しようがないです……

 最後に『慣用音』です。慣用と表すくらいなので、多くは誤読や『呉・漢音』の混合などによって生まれ、そのまま定着、慣用されるようになった読みです。
 例えば皆さん、「輸」の漢字は当然「ユ」と読んでると思うのですが、本来は『漢音』は「シュ」、『呉音』は「ス」と読みます。何で「ユ」と読むのかというと、おそらく、「愉快・比喩・教諭・治癒」の音符が「兪」であれば全部「ユ」と読むので、それにつられて「輸」もそう読むように定着したのでしょう。しかしあまり一般的でない漢語は、本来の読み方で読みます。「輸実」は「ユジツ」ではなく「シュジツ」です。
 他にも「茶」の「チャ」や、「平」の「ヒョウ」もそうです。


 いろいろと説明しましたが、知識としては『漢音』と、『呉音+漢音』があるということを頭に入れておけば大丈夫だと思います(≧ω≦)b
 他の二つはあまり使われないので、そういうのがあるという認識だけで十分です。

 とっっっても長くなってしまいました。でも音読みについてはなかなか省略できないので、これが精一杯です(〃゚д゚;A

  1. 2014/04/23(水) 22:58:08|
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漢字小話 其の伍<キョウとコウ>

 さて、また数日あいてしまいましたが、今回も漢字小話です。実はストックがいくつかあるのですが、それがなくなったらもっと更新が遅くなるかもですwwあとは話の内容が薄くなる…かもしれませんww
 ご了承ください!!

 其の伍<キョウとコウ>

 皆さん、「興味」と「興奮」、それぞれどう読むでしょうか?簡単ですね。
 「きょうみ」・「こうふん」ですね。
皆さんよく使う(?)と思うのですが、この二つの熟語、異なるところはどこでしょう?

「味・奮」の字が違うのは当然なのですが、「興」の読みが違います。片や「きょう」、片や「こう」と読んでいます。漢字には複数読み方があるのはご存じだと思いますが、これはちょっと意味があります。

音読みについての詳しい話は、別に用意してあるので、ここでは省きます。
まずこの熟語を読んでみてください↓

「興趣」「不興」「興亡」「振興」「興隆」

 一番目から、「きょうしゅ」「ふきょう」「こうぼう」「しんこう」「こうりゅう」となります。すべて「興」の入った熟語ですが、二つ目と三つ目を境に、読み方が違います。
 もしもこれだけで違いの意味が分かったら凄いです!驚きの洞察力(゜д゜)!

 まぁ、それは置いといて……ズバリ、結論から言います。
 『音の読み方によって、もたらす漢字の意味が違う』ということです!
 なんぞや!と思うと思います。それを「興」の字で説明します。

 『大漢和辭典』(by諸橋轍次)によると、「興」には大きく分けて三つの意味があります。
 1…コウ  力を合わせてもり立て盛んにする・おきる・おこす・さかえる等
 2…キョウ よろこぶ・おもむき・面白み・楽しみ等
 3…キン  血塗る

 三つ目の意味は「釁」に等しいのですが、ここでは関係ないので省きます。

 一つ目の意味は、「興」のもともとの意味に沿ったものです。「同+舁」の会意文字で、「同」は“力を合わせる”、「舁」は“ともに持ち上げる”というところから、1の意味になりました。
先に例に挙げた、「興亡(勢いが盛んになることと、衰えること)」「振興(学術・産業などを盛んにする)」「興隆(おこって盛んになる)」の字義には、すべて”盛んになる”の意を含んでいますよね。

次に二つ目の意味、これは「興」の持つ1の意味から派生して”感情がおこり立つ”となり、さらに「女+興」という漢字(パソコンに文字が無かった)、この字は”楽しい・嬉しい”という意味なのですが、その字に通じている(音が似ている)ため、2の意味を持つようになりました。
「興趣(物事の趣、面白み)」「不興(しらける=楽しくない)」には”楽しい”の意を含んでいますね。

 つまり、
「コウ」と読めば” 力を合わせてもり立て盛んにする”。
「キョウ」と読めば” 楽しむ・おもむき”と、読み方で意味が異なるのです。

 どうですか?わかりましたでしょうか?分かりづらかったらすみませんm(_ _)m


他には、「易」や「悪」などがあります。
 「易」は「エキ」と読めば”かえる、たがう、うらない”、「交易」「易経」「不易」などです。一方で「イ」と読めば”やすらか、たやすい”、「容易」「簡易」となります。

 「悪」は「アク」と読めば”わるい、いやな”、「悪事」「悪逆」「悪意」などです。一方で「オ」と読めば”にくむ、きらう”、「嫌悪」「憎悪」となります。

 しかし、この法則(?)は『すべての漢字に当てはまるわけではありません』。違った用法で分けられている場合もあります。これはあくまでもその中の一例です。
 まぁ、何が言いたかったのかというと、そうやって考えれば熟語の意味もりかいしやすくなるかもよ!?ってことです。

  1. 2013/09/06(金) 00:54:47|
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漢字小話 其の肆<罪と皇>

 本当は昨日あたりに更新する予定だったのですが、できませんでした…すみませんorz
 今日は罪のお話です!

其の肆<罪と皇>

 今回は「罪」と「皇」について。
 この二文字で検索にかけてみると、不敬罪やら大逆罪やら出てきますが、そういったことではありません。そんなことを書けるほど、博識でないですから…

 さてこの「罪」という字。
 音読みは「ザイ・サイ」。訓読みは「つみ・つみする」です。
 成り立ちは、「网(罒)」+「非」です。「网」は網を表す漢字で、この漢字の部首でもあります。ここでは法の網を意味します。
 「非」は見て字のごとく、「非行」や「非道」など、よくない、悪い、背く、悖る、を意味しています。
 この二つを合わせて、悪事のために法網にかかった人を指すようになりました。

 しかしこの字は、もともとはもっと違った形でした。
 こんなのです→「
 「自」と「辛」を縦につなげた形ですね。全く「罪」の字と違います。

 この「辠」の成り立ちは、「自」ははな(鼻)を意味します。そして「辛」は鋭いナイフをかたどった漢字です。つまり、鼻を刀で切り落とす刑を受けた人を指します。古代中国では、罪を犯すとこういった刑に処せられました。そこからつみという意味を持つようになりました。

 ではなぜ「辠」の字が、現在では「罪」の字で使われているのでしょう?
 それにはちょっと時代を遡ります。
 まず、かの有名な『説文解字』(by許愼著)を繙いてみましょう。
 そこには「罪」についてこうあります

 〔罪…捕魚竹网。从网、非。秦以罪爲辠字。〕

 これを簡単に訳すと、「罪…魚を捕まえる竹網。网にしたがい、非とする。」となり、そして最後にこうくくっています。
 「秦は罪をもって辠の字とする。」
 これはどういうことか。つまり、「秦の始皇帝が罪という漢字を辠の代わりにする」と書いてあるのです。

 これにはこういう話があります。
 秦の始皇帝の時、「辠」という字が、始皇帝の「皇」の字に似ているから、「罪」の字に改められたというのです。
 確かに似ていますし、犯罪、罪隷を表す字が、皇帝を表す字とかぶるのは嫌ですよね。縁起も悪いし。秦の始皇帝の気持ちもわからなくもないですが、それにしても随分勝手ですよね( ̄_ ̄;) まぁ王様なんて勝手なものですし、漢字が難しくなったのだって、上の人たちのせいですしね…おっとこの話はまた今度ということで。

 いま私たちが使っている漢字は、たった一人の都合で変わっていたりするものなんですね(^0^)

 ※ちなみに、「罪」と類似語の「罰」は、「詈(ののしる)」+「刀(刂)」で、罪を叱って刀で刑を加えることを表した字です。こちらのほうが「辠」の字義に近いですよね。

  1. 2013/08/26(月) 20:10:34|
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漢字小話 其の参<匣と匿>

 おととい旅行から帰ってきました!!楽しかったですよぉ岩手旅行!
わんこそば食べたり、宮澤賢治記念館に行ったり、遠野にいったり…
他にもいっぱい行きたいところはありましたが3日ではこれが限界ですねw
 ということで、今日も漢字小話です!!

其の参<匣と匿>

 突然ですが、「匣」と「匿」の二つの漢字、部首はなんだと思いますか?
 この部首は「匚」です。はこがまえ、と読みます。
 しかし、この部首は、かくしがまえ、とも読むんです。
 この二つ、厳密には違う部首なんです。二つとも同じ形なのになぜ?と思うでしょう。これには深~い(?)わけがあります。

 いま私たちが使っている漢字は、新字体または現代の通用字体と呼ばれるもので、画数が多かったり、形が混同しやすい漢字を、簡潔に統合した漢字です。
 たとえば「學→学」「澤→沢」「鹽→塩」「邊→辺」などです。難しいほうは、旧字体と呼ばれたりします。

 冒頭に挙げた二つの部首も、「」だけでなく、「」という部首があります。ぱっと見ると、とてもよく似ていますが、前者は二画目がカクンと折れ曲がっているのに対して、後者は二画目が丸みを帯びています。ちょうど「亡」の三画目のような感じです。
 この二つは形がよく似ているので、上記のように一つに統合されてしまいました。

 この二つは単体でも漢字としての意味を持っています。
 「匚」…ホウ  ・はこ   物を入れる四角い箱。
 「匸」…ケイ、ゲ・かくす  物を覆い隠す。
 似たような形でも、意味はまったく違うのです。

 ここで、最初に戻りましょう。
 「匣」の字は、箱という意味を持つので、部首は「匚」はこがまえ。
 「匿」の字は、隠れる・隠す・という意味を持つので、部首は「匸」かくしがまえ。
 となるのです。

 辞書には、この使い分けがちゃんと書いてあります。また、注意してほしいのですが、この新字体というのは、私たちが日常よく使う漢字にのみあてられたもので、あまり使われないよう漢字は、難しい字体のままです。
 たとえば、「灌」「鐸」「愈」などです。

 よく使う漢字が簡略化され、書きやすくなったのはいいのですが、それによって元の意味が部首で判断できなくなってしまったのは、すごく残念な気がします。
 ……ってかそんなのを気にするのは俺くらいですよねσ(^_^;)はい、済みません。


 ちなみに、「旧字体」という字を旧字体で書くと、「舊字體」となります。難しぃ(ノ゚ω゚)ノっつかめんどくさ!

  1. 2013/08/20(火) 22:13:31|
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